メイビー
透明少女という聞きなれない言葉。
変人が集まる文学部の中でも特異な日本文学科、の、その中でもかなりクルクルな木村君に誘われるがまま、僕は買って間もないテレキャスターをかき鳴らし、教室をステージに見立てた特設ブースでNumber Girlを歌った。
だけど、全くのダメな演奏に終わり、かなり落ち込んだ。
今思えばただの練習不足なんだけど、何というか、あの曲に皮膚や喉が付いていかず、全然あの人みたいな雰囲気を作れなかった。
他の多くの若者と同じように、僕は完全な自己中心的な発想で、『俺に速いロックは合わない』という意味不明なカテゴライズと結論を出してしまった。練習してないから当たり前なんだけど。
そんな、程よい勘違いを携えて音楽をやっていた大学1年生くらいのとき。
だけど自分の中では、何か内側から燃えてくる情熱のようなものが生まれ始めてる事も感じていたし、同級生や先輩に負けない何かを持ってるような気もしていた。
そんな時、秋の学園祭で、
またまた日本文学科の桑田君に誘われて、
今度はトッド・ラングレンなどの古いポップスを演奏することになった。
リーのやりたい曲、一曲選んでと言われて、何となく選んだのがこの曲。
セイ!イェイ イェイ イェーイ
スタジオでがむしゃらに叫んだ時、
自分の中の音楽に色が付いた感じがした。
例の大いなる勘違い、思い込み力で、ソウル音楽こそ自分の武器になるサウンドだなとすぐに思ってしまったのでした。
そこからは、もう少し音楽が他の遊びより特別なものになってきて、自分の曲を作ってバンドが出来るかも知れないと思うまでにどんどん加速していき、そのまま今日まで。
今日は雨が強くて嫁さんが風邪ひいて早く寝てしまったので、ひとり、何となくそんなことを思い出してました。
季節の空洞の5月は色々、立ち止まって思い出す事が多いような気がします。
明日は、この前安城で対バンした東郷清丸くんのライブを見てきます。楽しみ。おやすみなさい。